『三分の一の純情で純粋なその結果』

休日、よくパートナーとゲームをします。ゲームといってもカードゲーム、もしくはオセロといったレトロな物です。
それぞれ始める前にはじゃんけんをして先行後攻を決めます。最初はグーから始める古来からあるあれです。グー、チョキ、パーの三つの『手札』で優劣をつける、しごく正当で公平な物です。
その、じゃんけん。パートナーは異常なまでに負けない。ええ、負けないんです。ゲームの時に限らずいつもどんな時もまず、負けません。
対戦相手の自分から見ても、少なくとも勝率、7割より上だと思います。まず滅多な事では私が勝つ事はありません。それは、君がじゃんけんが弱いだけの話じゃないの?そう言われる方も多いとは思います。
ですが、じゃんけんは三つのどの『手札』を出しても、公平に三分の一の確率で勝利できるはずなんです。相手の出す手を予知するのはSFの話の中だけの事と思います。とにかく、彼女は、まずじゃんけんに負けません。
結果、自分がいつもゲームでは後攻になる訳です。
先ほども言ったSF小説、漫画などの中で、最初はグーを出すその僅かな間の相手の動作を読んで、次の手がわかるといった内容の物がありましたが、それは創作ゆえの作り話です。
勝てない理由がホンキで真面目に訳が分からず分かりません。ですが勝負は結果がその全てです。じゃんけんで負けて後攻から始めてもゲーム自体で勝つ事もあれば、その日、一勝もできない事もあります。
カードはページワンやポーカーといった物です。偶然、というしか勿論無いのですが。ですがいつもいつも、じゃんけんで負けるのも少し癪に触ります。何かこつがあるの?そう訊いてもパートナーは、きょとんとした顔でこう言います。
『無いよ、何も考えてない。無心の勝利なんじゃないの?』と、別段、小ばかにする訳ではなく真顔でいうのがまた腹立たしい。
そう言えば、将来の事を考えてマンション、思い切って買うか迷った時も彼女は「秋ごろがいいんじゃない?夏場よりか気候もいいし、物件を見に行くのも行きやすいと思うけど」とか、「駅から歩いて30分以上はあたし達はよくても、お義父さんやもし子どもが出来たらしんどくない?物件の中身もだけど、駅の位置、それに環境の事も考えて決めない?」と、しごく真っ当な事を言っては交渉事は、ほぼ彼女がスタッフの方とやり取りし、自分がした事と言えばお金の工面とハンコを押してサイン等を書いただけ。なんとも頼りない男だと思ったのを思い出します。
とかく感がいい。ゲームに限らずマンションの物件を見に行った時も、自分はおろか一緒に同行してくれた不動産屋さんのスタッフの方さえ気づかなかった、内装の不備も「あ。あそこ少し弱いかも?」と気づき、リフォームの対象ポイントを見つけたのも彼女。
目がいいというよりも本当に感がいい人なんです。見た目は、安穏と、ただただ、ぼ~としたごく普通の女性なのに。
話を戻します。そんな、じゃんけんに強いパートナーと紆余曲折ありながら、なんとなしに一緒になり夢のまま終わると思っていた、マンション購入。都心からは離れてはいますが、もよりの駅から歩いて15分その圏内。
近くには買物ができるスーパーや、緑の多い公園もあり、清水の舞台から飛び降りる想いで決めた『MY HOME』での生活。いつもゲームに負けてもそれなりに幸せな日々を送ってるのだと思います。
三分の一の確率での結果。人との出会いの確率は、多分おそらく奇跡的な微小な確率で出会うものなのかもしれません。千に一つの確率の出会いというならば、まさにそれは僥倖な事だと今そう思っています。

住まいの事を書いた面白い記事を見つけました。もしよろしければ是非。https://nagoyashikitaku-sumigokochi.com/